増田法律事務所
弁護士 増田泰宏(群馬弁護士会所属)

027-388-1521

メールでお問い合わせ

TOP

NOTE 覚え書き

 交通事故の治療と健康保険利用【弁護士による実務解説】

覚え書き

NOTE

  • 交通事故
  • 解説

 交通事故の治療と健康保険利用【弁護士による実務解説】

2020.08.04

交通事故の治療について、加害者側保険会社が窓口となって対応していることが多いため、治療費について考えるきっかけがないかと思います。

加害者側保険会社が窓口となって自賠責保険分の支払い手続きまで行うことを一括対応といいます。

一括対応中の治療費は、加害者側の保険会社が直接医療機関に支払い、医療機関としては自由診療(健康保険の単価に縛られない診療)として保険会社に請求を行っていることが多いです。

普段、風邪などで病院にかかった時には、健康保険を利用する保険診療では、決まった単価で計算がされ、自己負担分のみの、支払をおこなっているかと思います。

この場合は、同じ治療には同じ値段がつけられています。

 

他方、交通事故でよく用いられる自由診療の場合には保険診療よりも値段が高くなっています。

被害者の方のなかには、「自分の保険」=「健康保険」を利用することに拒絶感を示されて、自由診療で治療を望まれる方がいます。

また、交通事故の治療には、健康保険を利用できない、と医療機関から説明をされている(らしい)場合もあります。

(そもそも、交通事故で健康保険を利用するための書式等が用意されていますので使えないはずがないのです。)

しかし、事故の被害者としては基本的に健康保険利用を行うべきであると考えています。

 

特に、過失割合が発生する事故の場合には最終的な示談の際に、保険会社から支払い済みの治療費のうちの自分の過失割合分自己負担になります。

ですから医療費は圧縮しておくほうが最終的な受領額は増えることになります。

また、自賠責の傷害部分の保険金は120万円の上限がありますから、そこから上は任意保険会社の負担となるため、交渉がシビアになります。

 

(過去の事例)

過去に担当した事案では、保険会社が一括対応中、一部の自由診療で算定された治療費の単価を後になって否定したために、被害者が知らないうちに、医療機関ともめ事を押し付けられ、被害者を巻き込んだ紛争に発展したということもありました。

 

加害者側の保険会社に窓口を任せる手軽さはありますが、被害者としては支払いがどうなっているかわからないという怖さもありますので、きちんと説明を聞いておくか、事故当初から弁護士に相談する必要があります。

(まとめ)

一律の基準で単価設定がなされた健康保険診療を交通事故の治療でも積極的に用いることが最終的に受け取る賠償金を増やすことにつながります。

交通事故で健康保険を用いる場合には「第三者行為」の届出という紙を提出する必要があります。

とくに難しいものではありませんが、よくわからないという場合は弁護士にご相談されることをお勧めします。

群馬県高崎市飯塚町1124 増田法律事務所

弁護士 増田泰宏

 

記事一覧へ