男性／通院１１か月程度／後遺障害なし／過失事案／物損解決済み

出会いがしらの事故で受傷し、１１か月程度通院した方からのご相談事案です。

物損については、既に別冊判例タイムズ３８号記載の基本割合で解決済みでした。

過失事案であり、なおかつ相談者さんに過失についての意見があったので改めて実況見分調書を取り寄せて過失の検討をしました。

判例タイムズ３８号の記載は、当事者の属性と事故状況によって基本的な過失割合が示され、そこに目安となる修正要素を考慮してその事案の過失を考える建付けとなっています。

この事案では、実況見分調書から遮蔽物の存在や夜間で街頭が消えていたことなど視界不良の道路状況が記載されており、相談者側に有利に働く事情でした。

加害者側との和解交渉では、実況見分調書で裏付けられた修正要素の存在を指摘して、物損解決時と異なる過失割合での解決を提案し、受け入れられました。

また、通院慰謝料の点についても訴訟提起後の基準額からの減額の可能性の有無を検討しつつ、比較的大きな増額修正で解決に至りました。

（ポイント）

過失事故の場合、提案された損害額を修正しても、そこに過失分の減額があり、さらに加害者が保険会社が負担した治療費の控除があるので、自賠責保険の基準額を割り込んで交渉の実益がない場合もあります。

そのような場合に、過失割合の検討は全体の損害に対して影響するため最終の支払額への影響が比較的大きくなりますので、検討する余地はあるかと思います。

群馬県高崎市飯塚町１１２４　増田法律事務所

弁護士　増田泰宏