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NOTE
2020.08.07
(事故概要)
駐車場内での退出車と通路走行車の事故/ドライブレコーダーなし/損傷状況が特徴的
(相談内容)
駐車場内の通路を走行中に、駐車区画からの退出車に横から衝突された。相手車運転者は、退出中にハンドルを切ってぶつかってきた、といって被害を主張している。
落ち度はあちらにあることを証明してほしい、とのご相談でした。
(方針と経過)
駐車区画からの退出車が勢いよく通路走行車両の側面に衝突したという依頼者の主張と、通路走行車がハンドルを切って退出車両に近寄って接触したという相手方の主張で、事故態様が大きく異なっていました。
ドライブレコーダーや目撃者のいない事故では、実際にどのような態様で接触が起こったのかを立証することが難しくなります。
事故後に撮影された車両の写真や、損傷した車両の傷の形状からスピードや接触角度を推測し、そこから実際の事故態様を考えていくしかありません。
この事故では、依頼者側の保険会社の技術職の方の協力を得て、損傷痕跡からすると相手の言い分が不自然であることをあらかじめ確認していました。弁護士だけでは物理的な損傷痕跡の分析はできません。他方、技術職の方からすると裁判を進めるためにどのような情報が欲しいのかは、弁護士から要望がなければわかりません。ですので、事故の争点や立証の方向を説明し、コミュニケーションをとりながら依頼者の言い分が成り立つかどうかをを専門分野の違うもの同士が協力しながら探る必要があります。
そのうえで、裁判所で双方運転者の当事者尋問を求め、相手車両の運転者の言い分を明確に証言いただき、そのお話を前提にした事故と、今回の痕跡とを比べると不自然な点が現れるように工夫をして質問できるように、準備していました。
裁判所での当事者尋問の後に、やはり物理的な損傷と相手当事者の方の言い分の不自然さから、こちらの依頼者の過失が小さいという評価を得て、訴訟の始まった時点の相手方の見解から2割こちらに有利な割合で和解ができました。
(ポイント)
物的損害のみの事故は金額と労力が見合わないので扱わないという先生もいらっしゃるようですが、依頼者さんの強いご要望があり、弁護士費用特約の利用でご本人さんの負担がでない場合には、可能な限りお手伝いさせていただくようにしています。
人的損害が出ているような場合には、最終的な賠償額が大きくなりますので過失の一割もおのずと大きな金額になります。
提示された過失割が必ずしも正確でないことはよくありますので、決断するまえに専門家にご相談されることをお勧めします。
群馬県高崎市飯塚町1124 増田法律事務所
弁護士 増田泰宏