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NOTE
2020.09.21
(事案概要)
一見して明らかな優先道路性が争点化/加害者側の損害に疑義(前事故の影響)/被害者側保険会社の人身傷害保険が先行
(相談内容)
優先道路走行中に、わき道からの右折車両にぶつけられた。
こちらが優先道路なのは、みればわかるはずだが、加害者側保険会社担当者がなぜか優先道路性を争っている。依頼者側の保険会社担当者も困ってしまっている。
事故処理が長引いておかしなことになっているので、なんとかしてほしい。
(方針と処理内容)
事故の過失割合を考える際に、弁護士、損害保険会社担当者いずれも過去の裁判例を基準化した書籍「民事交訴訟における過失相殺率認定基準」いわゆる「別冊判タ」を用いています。
交通事故事件は、年間通して大量に発生していますし、ほとんどの案件に事故処理のプロである保険会社が関与していますので、過去の解決事例が集積されています。
この本では、道路形状と事故態様、事故当事者の属性(歩行者、四輪車、単車など)によって基本的な過失割合が示されており、そこに個別事案の特殊性(修正要素)を加味して過失割合を決定するという手法が多くの場合とられています。
そうすると、事故道路の形状が明らかに「優先道路(道路標識による指定や車両通行帯の設置)」であったとしても、保険会社担当者がなぜか優先性を理解できなかった場合(あるいは、独自の見解をも持ち出してしまう場合)には、そもそも議論の前提がかみ合わなくなってしまいます。
そのようなイレギュラーが発生しても、文献等をしめして説明してご理解いただける場合がほとんどですが、大手の損保担当者であっても理解力には差異があるようです。
このような場合には、基準の該当箇所を明示してまずはご説明差し上げることとなりますが、誤解が属人的なエラーの場合には、その担当者との交渉は無意味です。
訴訟提起をするなどして、第三者の介入を求めざるをえません。
この事案では、加害者が側保険会社が大手損害保険会社で地元にも担当の法律事務所があったため、早期に当該保険会社の高崎地区の弁護士に担当が変わりました。
弁護士に担当が変われば、通常通りの運用がある程度期待でき、実際、道路の優先性については一般的な解釈の基本割合からスタートすることとなり、裁判所の関与もあり、適切な割合と賠償額で落ち着きました。
ただ、当初の事故処理の混乱は最後まであとを引き、影響したことは否めないと思います。
(ポイント)
・大手保険会社の担当者は概ね優秀な方が多いが、属人的なエラーによって不可解な争点が発生することも稀にあります。
・属人的なエラーが発生した場合には、第三者による介入によって解決をせざるを得ず、その場合弁護士の介入がほぼ不可避となります。
・このような場合に、弁護士費用特約に加入していないと、費用面で大変な苦労をすることとなると思われるので、自動車保険の加入時には、弁護士費用の特約加入が無難と思われます。
群馬県高崎市飯塚町1124 増田法律事務所
弁護士 増田泰宏