増田法律事務所
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治療費打ち切りの意味【法律的解説】

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  • お怪我による損害
  • 交通事故
  • 解説

治療費打ち切りの意味【法律的解説】

2020.07.21

 

保険会社から、事故からそろそろ3か月(あるいは半年)になりますので治療費の支払いについては今月末までになりますと言われている。

 

まだ痛くて通院したいのに、病院にいってはいけないのか、というご相談が多くあります。

 

 

保険会社による「治療費の打ち切り」とか、「一括対応中止」といわれるものです。

 

事故の加害者が対人賠償の任意保険に加入している多くの場合、被害者の治療費は加害者側の保険会社が医療機関に直接支払う手続がされています。

 

これを、実務上「一括対応」と呼んでいます。

 (自賠責保険分と任意保険分の賠償を一つの窓口で行うので、「一括」といわれているようです。)

 

ここで、事故によるお怪我の治療費をいつまで加害者に負担させるべきかという問題が発生します。

 

日本の法律では、加害者に治療費を永遠に支払わせて償わせよう、とか罰を与えるためにたくさんお金を取り上げて被害者に渡そう、という事にはなっていません。

 

事故による治療費は基本的には、けがが治ったとき=「症状固定」までが加害者の負担ということになっています。

(重い後遺障害が残ったときなどは別途考慮が必要です)

 

「症状固定」の意味合いは、労災保険で使用される概念が参考にされています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002c0vt-att/2r9852000002c18c.pdf

 

ご相談者さんがよく誤解されているのが、保険会社が言う「治療費の支払いができない」というのを、「症状固定」に決定しましたという意味に捉えてしまっている事です。

 

そもそも、賠償上の症状固定の概念は、治療に行ってはいけない、というわけではないということが大前提です。

治療を受けるかどうかは担当の医師と患者さん本人の意向で決めることです

 

加えて、加害者側の任意保険会社には、「症状固定」か否かを最終的に決定する権限はない、という事が大切です。

 

医師の判断で、まだ治療が必要で、患者本人もまだ通院するということであれば、続けて通院すればいいことです。

 

一括対応中止の後の治療費をどうするかについては、健康保険に切り替える(一部自己負担あり)、その後に自賠責保険に自己負担分を請求、あるいは裁判所に判断を仰ぐといった選択肢が残されています。

 

受傷状況や治療経過によって、患者さんそれぞれの事情がありますので、一概にどうすべきとは言えません。保険会社も意地悪で治療費を払わない、といっているわけではなく、何らかの根拠があることが多いです。

 

具体的に事案に応じて適切な対処方法を取るためには、治療経過やご本人の希望をあらかじめお聞きする必要があります。

治療中であっても法律相談は可能ですので、事故の賠償について取り扱いのある弁護士にご相談することをおすすめします。

群馬県高崎市飯塚町1124 増田法律事務所

弁護士 増田泰宏

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