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NOTE
2020.07.22
交通事故でお怪我をした場合、まずは医師による治療に専念し、治療の経過を医療記録上に残すことが後の紛争の拡大を防ぎます。
しかし、受傷の程度によっては医学的限界があり、すべての方の治療が万全に奏功し、事故以前の状態を完全に取り戻すわけではないありません。
適切な治療を続けたにもかかわらず、労働能力の喪失をもたらすような症状を残す場合、これが賠償上評価すべき「後遺障害」に該当するのかを事故後の処理の手続きの中で明らかにしていくことになります。
多くの場合、それまで治療費を支払っていた加害者側任意保険会社の勧めで、よく理解のないまま手続きが進行していきますが、実は後遺障害等級の認定には2つの方法があります。
1 いわゆる後遺障害等級の「事前認定」
これは、治療費の支払いについてそれまで一括対応をしていた、加害者側の任意保険会社が後遺障害等級認定の手続窓口を行う方法です。
加害者側の任意保険会社が資料を整理して、損害保険料率算出機構へ後遺障害等級に該当するか否かの認定を求めます。
被害者はそれまで治療費を支払っていた加害者側の任意保険会社から送付される後遺障害診断書を医師に預け、医師が記載したものを保険会社に返送するだけです。
この方法の利点は、誰がみてもあきらかに後遺障害が出ていて、等級も明確な場合などに、手間がかからずに進めることができる負担の少なさにあります。
2 自賠責への被害者請求(自賠法16条に基づくため「16条請求」などといわれる)
こちらの方法は、より患者本人の状況にあった、オーダーメイドの方法で後遺障害の等級認定を行うことができるもので、本来、被害者ご本人が行うことを想定されています。
(現在では、事故直後から対応していた弁護士が代理人として請求手続きをする場合が増えています)
被害者請求を行う場合、まずは加害者側の自賠責保険会社に連絡をとり、被害者請求用の書式を取得し、後遺障害診断書をはじめ、患者本人の症状にあわせた医療情報(画像やカルテ、検査結果等)の書類を添付して、自賠責保険会社経由で算出機構に提出します。
被害者請求は、上記のように患者本人の症状に合わせたオーダーメードで必要な資料を添付することができます。専門知識・経験による結果の差異が生じやすく、事前認定にはない手間がかかりますが、被害者側の関係者が用意した書類すべてを審査に回すことが可能となりますので、より公平性や透明性が確保されやすいものであると言えます。
いずれの方法を選択するのが好ましいかは、患者本人の状況によるところがおおきく、ご自身での判断は難しいかと思います。
後遺障害が疑われる事案では、信頼できる専門家にご相談のうえ方針を決定されることをおすすめします。
2020/7/22投稿 弁護士 増田泰宏(高崎市飯塚町1124増田法律事務所・群馬弁護士会所属)